ホーム » TAD UNIT 7WAYに挑戦 » 13章:低域エンクロージャー分割方式

13章:低域エンクロージャー分割方式

密閉形 バスレフ形 の音圧比較

  1. 密閉形は最低共振周波数以下の周波数において12dB/octで緩やかに音圧が減衰します。
  2. バスレフ形はユニットとポートからの音圧が加算されますので反共振周波数以下では18dBで減衰します。
    パッシブラジェーター形も同様の値となります。
  3. 密閉形やバスレフ形の特性傾向としてはフィルターで例えるとハイパス形と呼ばれる特性です。
    音圧特性としてはケルトン形のようなバンドパスフィルターの特性傾向を示します。
    低域範囲を増強するには有効な方式ともなります。
    遮断特性としては低域側で12dB/oct 高域側では-6dBから-12dB/octの範囲にて減衰、ケルトン形での低音側では18dB/oct 高音域側では-12dB/octで減衰します。

位相比較
密閉形 バスレフ 位相比較

  1. 密閉形の音圧特性はハイパス特性なので位相特性は低音域から高音域にら向かって+180゜から0゜まで変化します。
  2. バスレフ方式では低音域から高音域に向かって+360゜から0゜まで変化します。
    バスレフ+ポート=音圧加算[反共振周波数以下]ではユニットとポートとに180゜の位相が生じます。
  3. ケルトン形ではユニットとポートの加算はなく音圧特性がバンドパス特性を示すことから位相は+180゜から-180゜まで変化します。

群遅延特性
密閉形 バスレフ形 遅延比較

群遅延[周波数時間遅]はどの周波数でも一定の数値が理想となりますが、実際はユニットの群遅延が一定でない為、群遅延をフラット特性にすることは困難です。
形の中での群遅延が最も少ない低音再生方式は密閉形です。バスレフは反共振周波数付近で大きな群遅延を示します。その数値は密閉形の3倍から4倍の値を示します。
ケルトン形でもバスレフ形と同様に広い周波数領域にわたって群遅延を示しますが、バスレフ形よりは小さな値となります。値によっては音色の劣化ともなります。
現在ではデジタル、チャンネル、デバイダーによりそれぞれの欠点を補うことも可能となりました。

12章:スタジオ再生における低域分割方式14章:TAD UNIT分割低域エンクロージャー設計